『家庭の食卓トレンド調査2016』結果報告

2017年3月23日

家庭の食卓トレンド調査2016」結果報告
― コスパ・簡単重視ながら、目新しい食卓ニーズも顕在 ―

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株式会社日本能率協会総合研究所(代表取締役社長:加藤文昭 本社:東京都港区)は、2016年11月に、首都圏在住の主婦(20~70代の既婚女性)およびシングル女性(20~30代の未婚女性)を対象に、「家庭の食卓トレンド調査2016」を実施いたしました。本調査は、食卓の変化の兆しをとらえるため、《新しい味編》《野菜編》《魚・肉編》の領域について、網羅的に調査したものです。その結果、下記のような傾向が明らかになりました。本リリースではその一部をご紹介します。

《新しい味編》:出世メニューで食用経験半数以上は『キーマカレー』『ソーキそば』『チョレギサラダ』『バーニャカウダ』『富士宮焼そば』。

『キーマカレー』は04年から増加し続けて72%に達し、『ソーキそば』は6割以上、『チョレギサラダ』『バーニャカウダ』『富士宮焼そば』は半数を超えたメジャーなメニューに。

《新しい味編》:大躍進メニュー『チョレギサラダ』は20代主婦が家庭の食卓に。『アクアパッツア』は食卓への登場ニーズ高く30代主婦に人気。

『チョレギサラダ』は家庭での食用経験が12ポイント急増で増加幅1位、20代主婦で最も高い。『アクアパッツァ』は家庭での食用経験・「今後家庭で食べたい」が増加、30代主婦で最も高い。

《野菜編》《魚・肉編》: “魚”離れ止まらず。若い女性&シニア女性は、“肉”食化が進行、ミドル女性は、魚も野菜も肉も、食卓登場頻度が減少。

「野菜メニュー」は1日1回以上が88%。「魚介類」は11%で07年の17%から毎回減少。40代・50代で5ポイント減少。「肉類」は32%、シングル女性7ポイント、70代3ポイント増加。

《野菜編》:新顔野菜の注目株『豆苗』、認知&購入が増加『ロメインレタス』。『サラダ用カット野菜』は50代主婦にも浸透して急成長。

『豆苗』は07年から33ポイント増加。『ロメインレタス』は認知で13年から17ポイントと最も増加。『サラダ用カット野菜』が13年から9ポイント、07年からは33ポイント増加

《魚・肉編》:40代主婦は食べ盛りの子供のために多様な肉をよく購入。20代主婦はコスパで『鶏のムネ肉』、シニア主婦は牛や塊肉も。

『豚こま』91%、『ウィンナー』82%。40代主婦は『ウィンナー』『合挽き肉』8割超、20代主婦は『鶏モモ』『鶏ムネ』をよく購入。60代主婦・70代主婦は牛肉や塊肉が50代以下より多い。

【調査概要】
  • 調査対象:首都圏(1都3県)在住の20~70代主婦(既婚女性)および20~30代シングル女性(未婚女性)
  • 調査方法:日本能率協会総合研究所「モニターリサーチ・システム」利用による郵送調査
  • 有効回収数:1,298人(発送数1,800人、有効回収率72.1%)
  • 調査実施日:2016年11月4日(金)~15日(火)

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出世メニューで食用経験半数以上は『キーマカレー』『ソーキそば』『チョレギサラダ』『バーニャカウダ』『富士宮焼そば』。

家庭の食卓に浸透する可能性のある目新しいメニューを探るため、世界各国のメニュー・国内のご当地メニューを156品目挙げ、「食べたことがある」という食用経験を聞きました。
13年と比較できる145品目の中で、増加幅の大きいベスト15は図表1のとおり、1位は『チョレギサラダ』で、13年から15ポイント増加し、20~70代主婦の54%は「食べたことがある」と回答しました。次いで『ガッパオ』が13ポイント増の28%、『アクアパッツア』が11ポイント増の32%でした。以下、『バーニャカウダ』『コブサラダ』『汁なし坦坦麺』『スープカレー』『浜松餃子』『シュラスコ』『キーマカレー』『海南鶏飯・カオマンガイ』『ソーキそば』『サムギョプサル』『酸辣湯』『富士宮焼そば』が挙がりました。東南アジア、韓国、イタリア等世界各国のメニューやご当地メニューが並び、バラエティに富んだ結果となりました。
『キーマカレー』は04年から毎回増加し続けて72%に達し、ベスト15の中で食用経験が1位でした。『ソーキそば』は6割以上、『チョレギサラダ』『バーニャカウダ』『富士宮焼そば』は半数を超え、いずれも増加を続けて今ではメジャーなメニューになりました。
ご当地メニューの中では、北海道の『スープカレー』、静岡の『浜松餃子』『富士宮焼そば』、沖縄の『ソーキそば』がランクインしています。リオ・オリンピック開催地であるブラジルの代表的メニュー『シュラスコ』が増加したのも特徴的です。
『ガッパオ』『アクアパッツア』は10ポイント以上増加していながら食用経験はまだ3割前後と低く、今後の伸び代が期待されます。『浜松餃子』『シュラスコ』『海南鶏飯・カオマンガイ』『サムギョプサル』も食用経験が3割に満たない中で5ポイント以上増加しており、次に火がつく可能性を秘めたメニューともいえます。

図表1 食用経験でみる出世メニュー【ベスト15】(MA)

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大躍進メニュー『チョレギサラダ』は20代主婦が家庭の食卓に。『アクアパッツア』は食卓への登場ニーズ高く30代主婦に人気。

食用経験の増加幅1位の『チョレギサラダ』、3位の『アクアパッツァ』について、家庭の食卓への浸透状況を見てみます。
韓国系メニューの『チョレギサラダ』は、「家庭で食べたことがある」という家庭での食用経験でも13年から16年にかけて12ポイント増と増加幅が1位で、急成長しました。一方で「(ご家庭で食べたことのないメニューで)今後家庭で食べたい」では1割弱で横ばいです。食用経験でも家庭での食用経験でも、20代主婦で最も高く、次いで30代主婦、40代主婦でした。「今後家庭で食べたい」は20代主婦・シングル女性で1割を超えてニーズの高さがうかがえました。20代~30代の世代にとって韓国系メニューは、日韓ワールドカップをきっかけに学校給食メニューに登場するなど、子供のころから馴染みがあり、外食などでも食用経験が拡大したものと推測されます。レタスに市販の専用ドレッシングをかけるだけという簡単メニュー『チョレギサラダ』は、20代主婦を中心に家庭の食卓に浸透したのでしょう。
イタリアンの魚介類メニュー『アクアパッツァ』は、07年から16年にかけて、食用経験・家庭での食用経験・「今後家庭で食べたい」ともに毎回増加を続け、その全てで30代主婦が最も高くなっています。また、「家庭で食べたことがある」が8%に過ぎないのに対して、「今後家庭で食べたい」の方が15%と上回っており、実態よりニーズが高い、期待されるメニューです。後述するように、家庭の食卓では魚離れが確実に進行中ですが、魚介類の救世主となるメニューといえるかもしれません。

図表2 『チョレギサラダ』『アクアパッツア』の家庭の食卓への浸透(MA)

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“魚”離れ止まらず。若い女性&シニア女性は、“肉”食化が進行、ミドル女性は、魚も野菜も肉も、食卓登場頻度が減少。

生鮮3品について、食卓へのメニュー登場頻度を聞きました。
「野菜メニュー」は、88%の主婦が1日1回以上登場すると回答しており、登場頻度は極めて高いといえます。時系列でみると、07年から16年まで9割前後です。主婦の年代別では、70代で最も高く、40代で最も低くなっています。13年から16年にかけては3ポイント微減しており、年代別にみると、40代主婦・50代主婦で5ポイント減少していました。
「魚介類メニュー」は、1日1回以上でみると11%に過ぎず、07年の17%と比較して毎回魚離れが進行中です。年代別にみると、50代以下の年代では1割未満で、70代主婦の26%、60代主婦の17%と比べて差が大きくなっています。特に40代主婦・50代主婦で13年から5ポイント減少しているのが目立ちました。ミドル層では“魚”“離れ・”野菜”離れが同時に進行していました。
「肉類メニュー」は、32%の主婦が1日1回以上登場すると回答、時系列でみると、07年から16年までおおよそ3割前後ですが、07年と比較すると4ポイント増加しています。年代別にみると、20代主婦が41%と最も高く、次いで40代主婦が37%、30代主婦が36%と高くなっています。13年と比較すると、シングル女性で7ポイント増加、70代主婦で3ポイント増加が目立つ一方で、50代主婦で8ポイント減少していました。“肉食女子”ブームで若い女性、“ロコモティブシンドローム”を意識してシニア層が肉を食べるようになる一方で、ミドル層では魚介類・野菜だけでなく、肉類も食卓への登場頻度が減っていました。

図表3 野菜メニュー・魚介類メニュー・肉類メニューの食卓登場頻度(SA)

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新顔野菜の注目株『豆苗』、認知&購入が増加『ロメインレタス』。『サラダ用カット野菜』は50代主婦にも浸透して急成長。

定番野菜・新顔野菜・加工野菜について計222品目の選択肢を挙げ、それぞれに実態やイメージについての設問で、あてはまる品目を選んでもらいました。その中から、13年から16年で5ポイント以上増加した注目品目とその時の設問をピックアップしたものが図表4です。
定番野菜の中では、『スプラウト』が「身体にいい」「最近よく利用する」という設問で増加が目立っており、50代以上の主婦で増加していました。『はくさい』『さつまいも』を「最近よく利用する」人も増加しており、特に20代主婦を中心に若い主婦で高くなっています。
新顔野菜の中では、『豆苗』『ズッキーニ』『空芯菜』『ロメインレタス』で「買ったことがある」が07年から毎回増加を続けており、食卓への浸透が進んでいます。特に『豆苗』は13年から15ポイント、07年からでは33ポイント増加していました。また、『ロメインレタス』は「知っている」でも13年から17ポイントと最も増加しており、急速に広まっている野菜です。
加工野菜の中では、『サラダ用カット野菜』が13年から9ポイント、07年からは33ポイント増加して急成長を遂げました。年代別では20代主婦で最もよく利用されており、50代主婦で最も増加していました。『冷凍ブロッコリー』『カットキャベツ』も好調です。
浸透が進んでいる野菜を見ると、『スプラウト』『もやし』『豆苗』『サラダ用カット野菜』といった価格が天候に左右されにくい品目や、『はくさい』『さつまいも』『ロメインレタス』『冷凍ブロッコリー』といったボリュームがあってコスパがいいと感じる品目が多いようです。

図表4 食卓への浸透が進む野菜(MA)

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40代主婦は食べ盛りの子供のために多様な肉をよく購入。20代主婦はコスパで『鶏のムネ肉』、シニア主婦は牛や塊肉も。

よく買う肉類の種類について27品目の選択肢を挙げて聞きました。ベスト10は図表5の通り、『豚肉(スライス・こま切れ)』が最も高く91%、次いで『ウィンナー』が82%、『ハム』『鶏のモモ肉』が7割台、『合挽き肉(牛・豚)』『ベーコン』『牛肉(スライス・こま切れ)』が6割台、『鶏のムネ肉』『鶏肉(から揚げ用・こま切れ他)』『豚肉(挽き肉)』が5割台で続きます。
年代別にみると、40代主婦は、このベスト10のうち5品目で主婦全体を5ポイント以上上回り、特に『ウィンナー』『合挽き肉(牛・豚)』は8割を超え、多様な肉類をよく購入していることがうかがえます。40代主婦は「子供がよく食べてくれる肉類」という設問でも主婦全体を上回る品目が多く、小中高生の食べ盛りの子供の食欲を満たすため、子供が好きな肉メニューが必須となっている様子です。
20代主婦は、『鶏のモモ肉』『鶏のムネ肉』が主婦全体を5ポイント以上上回っており、安くてボリュームのある、コスパがいい鶏肉をよく購入しています。『鶏のムネ肉』は「レパートリーを増やして、もっと利用したいと思う肉類」の質問では1位で、主婦全体で27%、20代主婦・30代主婦では35~36%でした。若い主婦では、よりコスパがいい『鶏のムネ肉』をもっと利用したいというニーズの高さがうかがえます。
60代主婦・70代主婦は、『ハム』『牛肉(スライス・こま切れ)』が主婦全体を5ポイント以上上回っており、年代差が目立ちます。ランキング外でも『豚の塊肉(ヒレ肉・バラ肉等)』『牛肉(すき焼き用)』『生ハム』『牛肉(ステーキ用)』が多いことから、比較的高価な牛肉や手間のかかりそうな塊肉を買うことが50代以下の年代より多い傾向です。

図表5 よく買う肉類【ベスト10】(MA)

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調査の内容

家庭の食卓トレンド調査2016」は、首都圏在住の主婦(20~70代の既婚女性)およびシングル女性(20~30代の未婚女性)を対象に、食卓の変化の兆しを時系列でとらえる総合的な調査です。本リリースではその一部をご紹介します。

1)《野菜編》野菜の消費意識・実態についての最新トレンドは?

定番野菜57品目の使い方とイメージ、新顔野菜86品目の浸透度(認知・購入経験)、
冷凍野菜・カット野菜・加工野菜の利用拡大の実態、野菜の購買行動・不足感と意識・・・等

2)《魚・肉編》“魚”離れ&“肉”食化の詳細は?

魚介類の78品目の購入実態、食べ方別の使い方とイメージ、
魚介類の調理の実態と意識、水産加工品の利用、
肉類27品目の使い方、食肉加工食品の利用、魚・肉の購買行動・過不足感と意識・・・等

3)《新しい味編》世界各国&ご当地の味の家庭の食卓への定着度を検証!!

洋風・中華系・韓国系・東南アジア系・ラテンアメリカ系メニュー、ご当地メニュー、
洋風・中華系・韓国系・エスニック系調味料・和風郷土調味料・スパイス・海外本格食材、
目新しい調味料の購買行動・情報源、調味用食材、乳製品・チルド定番食材・・・等

4)《まとめ編》食卓トレンドを、様々な角度から多面的に検証!!

《野菜編》《魚・肉編》《新しい味編》の総括・まとめ

「家庭の食卓トレンド調査」は、07年・10年・13年に実施しており、本調査はその継続調査です。

本調査は、メニュー・食品・調味料からみた生活者データベースです。今回はその中から、「食用経験でみる出世メニュー」「『チョレギサラダ』『アクアパッツア』の家庭の食卓への浸透」「野菜メニュー・魚介類メニュー・肉類メニューの食卓登場頻度」「食卓への浸透が進む野菜」「よく買う肉類」に焦点を当てて、結果を報告しております。

調査購入のご案内

本調査は、弊社自主企画による調査に複数企業がご参加いただく方式で実施し、以下のアウトプット一式を提供いたします。

購入費用

《野菜編》《魚・肉編》《新しい味編》各編毎に
定価 各編350,000円~450,000円(税別)
MDBメンバー価格 各編300,000円~400,000円(税別)
※セット価格あり ※《まとめ編》のみの購入はできません。

調査のアウトプット

《野菜編》《魚・肉編》《新しい味編》各編毎に
(1)調査報告書:A4判・55~65ページ・2017年1月発行
(2)集計結果数表:A4判・602~812ページ・2016年12月発行
(3)集計データ(CD-ROM):クロス集計、ローデータ、他
《まとめ編》:A4判・19ページ・2017年2月発行

※本調査の成果物の著作権は(株)日本能率協会総合研究所が保有します。

※弊社は、本調査にご参加・購入いただいた企業(法人・個人)以外には、成果物を提供いたしません。ただし、本調査を告知するための限定的な利用、及び発刊から一定期間経過後はこの限りではありません。

※本調査の成果物のご利用はご参加・購入いただいた企業(法人・個人)の内部でのご利用のみに限らせていただきます。

本件についてのお問い合わせ先

株式会社日本能率協会総合研究所

消費者研究部  担当:土井
〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル2階
TEL:03-6202-1287 FAX:03-6202-1294 E-mail:info_mlmc@jmar.co.jp

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