本シリーズでは、既存の商品や技術を従来の顧客から新たな顧客や業界に展開することによる新市場探索、新事業開発の進め方を説明しています。
前半の第1回から第3回では、用途市場探索の方法、見つけることができたビジネスチャンスを評価選定する方法とその考え方についてご説明しました。
第4回からの後半では、これまでの活動の中で有望と捉えた市場に対しての参入計画、ビジネスプラン立案の推進方法についてご説明します。前回(第4回)は「市場開発計画の立案①」として、仮想提案書を用いたフィールド調査についてご説明しました。今回の第5回では「市場開発計画の立案②」として、事業化コンセプト、市場開発計画の企画方法についてご説明します。
図表 日本能率協会が考える代表的な技術・製品の新用途・新市場探索の進め方(ビジネスプランニングまでの連載予定)
前半の第1回から第3回では、用途市場探索の方法、見つけることができたビジネスチャンスを評価選定する方法とその考え方についてご説明しました。
第4回からの後半では、これまでの活動の中で有望と捉えた市場に対しての参入計画、ビジネスプラン立案の推進方法についてご説明します。前回(第4回)は「市場開発計画の立案①」として、仮想提案書を用いたフィールド調査についてご説明しました。今回の第5回では「市場開発計画の立案②」として、事業化コンセプト、市場開発計画の企画方法についてご説明します。
図表 日本能率協会が考える代表的な技術・製品の新用途・新市場探索の進め方(ビジネスプランニングまでの連載予定)
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1.競合動向分析
前回でご説明した顧客ニーズ分析の結果をもとに、そこで名前が挙がった商品・企業について競合動向分析を行います。競合については、現在参入している企業と、現在は参入していなくても後発参入の可能性のある企業を想定し、双方を把握し、調査する必要があります。一般的に新規性の高い商品は、シェア2位以下のメーカーが先に市場投入し、トップシェアの企業は先行投入した企業の活動や商品の販売状況などから市場性を見極めた上で参入してくるケースが多くなります。そのために、特許出願・取得の状況や大学・研究機関との共同研究の動向などを参考に、トップシェア企業の後発参入の可能性も考慮しておきます。
これらの顧客ニーズ調査や競合動向分析に基づき、自社として参入可能な有望用途市場を設定します。
図表:競合動向分析
前回でご説明した顧客ニーズ分析の結果をもとに、そこで名前が挙がった商品・企業について競合動向分析を行います。競合については、現在参入している企業と、現在は参入していなくても後発参入の可能性のある企業を想定し、双方を把握し、調査する必要があります。一般的に新規性の高い商品は、シェア2位以下のメーカーが先に市場投入し、トップシェアの企業は先行投入した企業の活動や商品の販売状況などから市場性を見極めた上で参入してくるケースが多くなります。そのために、特許出願・取得の状況や大学・研究機関との共同研究の動向などを参考に、トップシェア企業の後発参入の可能性も考慮しておきます。
これらの顧客ニーズ調査や競合動向分析に基づき、自社として参入可能な有望用途市場を設定します。
図表:競合動向分析
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2.事業コンセプト(参入テーマ)
顧客ニーズ分析、競合動向分析の後は、設定した新たな用途市場での商品構想の検討、および課題の想定と抽出を行い、事業コンセプト(参入テーマ)としてまとめます。
自社の既存の商品・サービスを新たな用途市場に展開する場合、そのまま投入して展開できることは極めて稀で、大半のケースで改良、強化するべき課題が存在します。言い換えると、市場が異なればニーズも異なっているので、その用途市場に合わせた仕様に変えていくことが競争上も不可欠である、ということです。そのため、設定した新たな用途市場に向けた改良点、強化点を加味した商品のイメージを具体化しておく必要があります。
また、新商品開発や技術活用の場合は、商品開発計画、技術開発計画に向けて「どのような商品に仕立てていくか」を明確にしておきます。商品イメージの検討過程は、技術的な対応の方向性、課題を詳細に検討する過程でもあります。技術的に難度が高い場合、有望と思われる用途市場であっても開発を途中で断念せざるを得ない場合もあります。また、他社との技術連携を検討する場合もあります。さらに技術面だけに限らず、生産面、販売面においても課題を明らかにし、今後の検討事項として心がけるようにします。
図表:事業コンセプト(参入テーマ)
顧客ニーズ分析、競合動向分析の後は、設定した新たな用途市場での商品構想の検討、および課題の想定と抽出を行い、事業コンセプト(参入テーマ)としてまとめます。
自社の既存の商品・サービスを新たな用途市場に展開する場合、そのまま投入して展開できることは極めて稀で、大半のケースで改良、強化するべき課題が存在します。言い換えると、市場が異なればニーズも異なっているので、その用途市場に合わせた仕様に変えていくことが競争上も不可欠である、ということです。そのため、設定した新たな用途市場に向けた改良点、強化点を加味した商品のイメージを具体化しておく必要があります。
また、新商品開発や技術活用の場合は、商品開発計画、技術開発計画に向けて「どのような商品に仕立てていくか」を明確にしておきます。商品イメージの検討過程は、技術的な対応の方向性、課題を詳細に検討する過程でもあります。技術的に難度が高い場合、有望と思われる用途市場であっても開発を途中で断念せざるを得ない場合もあります。また、他社との技術連携を検討する場合もあります。さらに技術面だけに限らず、生産面、販売面においても課題を明らかにし、今後の検討事項として心がけるようにします。
図表:事業コンセプト(参入テーマ)
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3.市場開発計画
事業コンセプト(参入テーマ)を策定した後には、新用途開発を具体化するために市場開発計画を作成します。まず、有望用途市場のターゲット顧客を明らかにし、その顧客に向けた基本戦略を検討します。そして参入のための行動戦略を立案します。
行動戦略は、製品、品揃え、開発、生産、物流、営業など事業を構成する機能単位で検討します。自社にとって新規に参入する市場であれば営業戦略は重要ですので、さらに市場開拓、ルート、広告宣伝、価格政策など詳細化して検討します。
現在の市場に代替品・直接的な競合品が存在しないような、自社の商品によって市場を創出していく場合の市場開発は、市場に対する認知・啓蒙計画が重要となります。また、すでに代替品がある市場へ後発参入する場合は、よほど画期的な差別化要素を持った商品でない限り、代替品からの置き換えを促すのは難しくなります。関心の高い顧客やルートと連携を図り市場浸透させていく積極的な提案活動が必要となります。
図表:市場開発計画
事業コンセプト(参入テーマ)を策定した後には、新用途開発を具体化するために市場開発計画を作成します。まず、有望用途市場のターゲット顧客を明らかにし、その顧客に向けた基本戦略を検討します。そして参入のための行動戦略を立案します。
行動戦略は、製品、品揃え、開発、生産、物流、営業など事業を構成する機能単位で検討します。自社にとって新規に参入する市場であれば営業戦略は重要ですので、さらに市場開拓、ルート、広告宣伝、価格政策など詳細化して検討します。
現在の市場に代替品・直接的な競合品が存在しないような、自社の商品によって市場を創出していく場合の市場開発は、市場に対する認知・啓蒙計画が重要となります。また、すでに代替品がある市場へ後発参入する場合は、よほど画期的な差別化要素を持った商品でない限り、代替品からの置き換えを促すのは難しくなります。関心の高い顧客やルートと連携を図り市場浸透させていく積極的な提案活動が必要となります。
図表:市場開発計画
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次回の最終回は「ビジネスプランニング」として、新用途市場での事業開発をビジネスプランとしてまとめる方法についてご説明します。
株式会社日本能率協会総合研究所のご支援メニューについて
(株)日本能率協会総合研究所では、新事業創出活動のご支援を行っております。ここまでのコラムでご紹介したようなテーマ創出の活動から事業企画のご支援も、お客様の課題に合わせてカスタマイズしてご支援いたします。
また今回ご説明したような、仮想提案書に基づく顧客のニーズ把握、検証のための調査のご支援もいたします。自社とは関わりが薄い業界、企業への調査の際などにご活用いただけます。詳しくはこちらをご覧ください。
◆新規事業開発支援 課題に応じてカスタマイズ可能な支援プログラム:研修から事業開発伴走支援まで
https://www.jmar.biz/business_development/
また今回ご説明したような、仮想提案書に基づく顧客のニーズ把握、検証のための調査のご支援もいたします。自社とは関わりが薄い業界、企業への調査の際などにご活用いただけます。詳しくはこちらをご覧ください。
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https://www.jmar.biz/business_development/
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