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2022.07.21 UP

新事業開発の進め方【第1回】





-はじめに-

私ども日本能率協会総合研究所では、皆様より、新事業開発が上手くいかない、というご相談を受けることが多くあります。
企画・検討の進め方をうかがうと、誰かのアイデアにすぐ飛びつく、流行/バズワードに便乗する、他社の成功をそのまま模倣する、など安易な事業参入を目指しているケースが多く見受けられます。
このような、社会の変化や業界・市場の動向を十分に情報収集・分析せずにブームに乗る、表面的な流行りを追うなどの行為は、リスクヘッジの視点からも注意する必要があります。

また、いくらその事業が有望であっても自社の実力が伴わなければ意味がなく。自社の技術や販路を活かすことができる分野、自社の人材やノウハウを活かすことができる分野を客観的に判断する必要があります。

本コラムでは、新事業開発の進め方を新製品・新商品のテーマ探索からビジネスプランの策定までを連載形式でご紹介します。


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1.探索にあたってのガイドライン検討

新事業開発は、新たな事業のテーマを探す活動から始まります。方針のないまま行動に結び付けることは多くの失敗を生む危険があるため、ガイドラインが不可欠になります。
新事業開発のガイドラインを設定するためには、各種の分析を多面的に行い、客観的な判断のもとで方向性を議論することが重要です。取り組む分野や業界、自社の活用資源を鮮明にすることで、テーマ探索の活動方針、方向性の合意形成を行います。

必要となる客観的な分析は、2項目あります。
①外部環境の分析:マクロ環境分析、参考企業分析など
②内部環境の分析:自社経営資源分析、新事業成功・失敗要因抽出など


2.マクロ環境分析

マクロ環境変化は、以下のような視点でブレークダウンしながら捉えます。

 ■社会:社会・地域の変化、価値基準変化
 ■経済:景気、物価、成長率、貿易
 ■政治:政策、法規制、税制
 ■技術;技術開発、技術革新

これらについて、まず「変化の方向の洗い出し」を行います。つぎに変化の方向が自社にどのように影響があるのかを、「変化の方向」→「市場への影響」→「自社にとっての参入機会・脅威」という手順で検討していきます。


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図表に示すマクロ環境分析テンプレートを用いて、さまざまな視点を入れることができます。判断が必要な欄(プラス作用、マイナス作用)は、チェック欄として活用できます。

自社の業界や市場は何らかのマクロ環境の影響を受けています。直接は関わりがなさそうな環境変化であっても、まわりまわって自社の業界や市場に影響を与えていることは少なくありません。このため、可能な限り幅広くマクロ環境の変化をつかむことが必要となります。自社の中長期経営ビジョンや自社の属する業界の未来展望などを軸に、関りを持つ社会・経済領域まで幅広く探索することが、発想の幅に繋がります。


3.他社事例を参考にする

同業他社、業界内企業及び同じような経営資源を持っている他社の新事業の取り組みから、自社が参入する場合の課題を抽出(ベンチマーキング)します。


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参考企業参入実態は以下のようなポイントで考察します。
 *他社の参入分野
 *経営資源の活用手段と新しい分野への参入方法
 *事業展開上の参考点
これらを分析することで、自社の参入分野および参入パターンの参考資料とします。
併せて他社の参入分野から
 *自社業界の他社の参入分野の発見
 *自社と経営資源の近い企業の参入分野の発見
 *自社の参入分野の方向付け
などの気づきを得て、自社の成長革新の方向性、新事業展開の視点の参考とします。


4.活用資源の抽出

自社経営資源とは、開発・技術力、生産力、販売力、資金力、組織力などによって構成されます。新事業開発に当たっては、「世の中を知る、市場を知る、ライバルを知る」こととあわせて「自らを知る」ことが重要です。新事業は、事業として魅力的であっても自社の資源と大きくかけ離れている異分野への進出は、大きなリスクが伴い成功確率は低くなります。

自社の資源を共有化し利用することが、事業を進めるうえで有効です。新事業を考える場合は、会社全体としてどのような資源を持っているか、その資源を最大限に投入できるかを考えることが必要となります。そのためには各部門の認識にばらつきがないよう共通のフレームで自社資源を分析する必要があります。


第2回は「有望商品・事業を探索するための調査」をお送りする予定です。




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