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2022.09.21 UP

新規事業開発の進め方【第3回】






第1回では「ビジネスチャンス探索」として、広く世の中を起点として変化の兆しやそれによって起こり得る事象を想定しながら、マクロ環境を俯瞰的に捉えることをご説明しました。
第2回では「有望事業・商品を探索するための調査」として、世の中で起こる変化やその兆しが、産業・ビジネスへどのような影響をもたらすのかを調査する方法についてご説明しました。
今回は第1回と第2回で行った、俯瞰から具体化の流れで捉えた事業機会から、自分たちにとっての有望新事業・新商品のテーマを決定する取り組みについてご説明します。


※無断転載・引用禁止


1.ビジネスチャンス探索シートの作成

これまでの活動から捉えることができた事業機会のうち、自社・自分たちで取り組んでみたい、取り組む価値があると考えるビジネスアイデアを事業テーマ・商品テーマとして取りまとめていきます。
実際のテーマ設定は、複数のメンバーで行うことで客観性を保つのが大切です。下記に例示したようなビジネスチャンス探索シートに必要な情報をまとめ、評価します。

テーマを評価するためには多面的に情報収集する必要があります。特に、新規性の高い分野は積極的に収集し、情報量を多くすることが望ましいです。新規性の高い分野であればあるほど、理解が進まず適切に評価しないまま安易に切り捨ててしまいがちなためです。
情報は、市場動向、顧客ニーズ動向、競合動向、技術動向、法規制などの要素に分解し、それぞれの動向を各種の文献やネット情報、社内情報などから収集、整理します。
市場サイズ、成長性といった市場の規模感を定量的に捉えるための情報は、既存の情報では不十分な場合があります。これから生まれる市場、既存のビジネスを別のレイヤーで捉え直して市場とした場合などは、公開情報が存在しないケースがあります。そのような場合は、すでに公開されている複数の統計や情報を組み合わせていったん定量化します。定量的な市場の把握は、複数のテーマを比較する際の目安にすることが目的なので、この段階で緻密な数値は必要ありません。

こうして収集した情報に基づき、自社として狙うべき市場、事業イメージ、参入方法、規模等を構想します。そして、この構想の評価を実施します。


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2.テーマ評価

新規事業のテーマは大きく分けて「事業の魅力」と「自社の力」で評価を行います。適切な評価の順序は、まず「事業の魅力」を、次に「自社の力」です。
技術者の視点で評価を行うと「自社の力」から先に評価を実施しがちです。結果、「今の技術で出来るテーマはどれか?」という視点からの判断が優先され、現在の自社ではできないテーマを早々に検討から外してしまう、というケースをよく見かけます。

「事業の魅力」、「自社の力」といっても漠然とするため、具体的に複数の評価項目を設定します。以下は汎用的な項目例の一部です。事業開発の目的や狙いに応じて調整します。

■「事業の魅力」
 *競合度合
 *市場規模
 *収益性
 *事業の安定性

■「自社の力」
 *技術的困難度
 *販売チャネル
 *経験
 *現業とのつながり

「事業の魅力」とはそのテーマそのものの魅力であって、同業他社が参入を検討した場合にも魅力的な事業に見えるかを想定する視点です。「自社の力」は、そのテーマを自社で実現できるか、自社に適しているか、を見る視点です。


3.評価の実施と有望テーマの選出

評価基準項目を設定したら、新事業テーマひとつひとつについて各項目で点数付けをし、評価を行います。評価は、「事業の魅力」と「自社の力」を分けて合計を出し、双方で得点の高いテーマからより有望テーマを選定します。
こうした評価方法はあくまで新規事業をより客観的に選ぶための判断材料ですので、以下のような方法を例に採点基準を変えた検討を複数回行い、評価のばらつきや見落としを防ぎます。

■同じ得点であれば、満点を獲得した項目が多いテーマを優先する。

■最低点が多いテーマは優先度を下げる。

■新規事業探索の目的に沿って配点のウェイトを変える。

例えば、中長期的に成長する新事業を考えるのであれば、ライフサイクルや成長性の評価基準に重みを置いて配点比率を変える、自社の力で保有技術力を重視する場合は、保有技術力のウェイトを高くする、といったことです。

次のビジネスプラン策定ステージに進める有望テーマを選定するためには、複数のメンバーが協議に参画し、客観的・総合的な判断を行う必要があるでしょう。評価の結果、3~5テーマ程度抽出できることが望ましいです。



第4回からはビジネスプラン策定ステージに進み、「環境変化と強みの認識」をお送りする予定です。





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