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2024.05.08 UP

AI時代だからこそ重要性が高まる「取材術」のポイント【第1回】





元ボストン・コンサルティング・グループのコンサルタントであり、早稲田大学ビジネススクールの教授として活躍された内田和成氏が執筆した書籍『アウトプット思考』をご存知でしょうか。

情報の達人である内田氏によれば、従来、情報は多ければ多いほどよく、これまで情報収集とその整理・活用に努力を傾注してきたとのこと。
しかし、AI革命ともいえるChatGPTに代表される「生成系AI」の登場により、これまでマンパワーで行ってきたインターネット上の大量の情報の検索や整理なども誰でも簡単にできるようになってきています。そして、誰でも簡単に「生成系AI」によって大量の情報収集・整理ができるようになると、「多くの情報をもっていること」が差別化の要因にならなくなると指摘しています。せっかく「生成系AI」を使って情報収集して資料を作成しても、他の人も同じ手段で情報収集すれば、情報での「差別化」は困難となります。

内田氏はこれからのAI時代では「いかに多くの情報を集めるか」ではなく「いかに差別化できる情報を集められるか」がポイントになると指摘しています。
具体的には、生成系AIによる膨大な既存情報の収集・整理に注力するのではなく、「人」から直接得る「一次情報」こそが「差別化できる情報」であるとしています。

これまで「取材」というと、新聞記者やマスコミ、調査会社などのプロが行うものと考えられてきました。しかし、これからはビジネスパーソンも「差別化できる情報」を得るために、積極的に業界関係者や企業の関係者に直接「取材」することがますます重要になっていくと言えます。そのための「取材術」は、これからのAI時代を勝ち抜く武器として、ビジネスパーソンの重要なビジネススキルになるでしょう。
本コラムでは、下記に沿って「取材術」のポイントを紹介していきます。

●コラムの内容
※無断転載・引用禁止


弊社のような調査会社にとって、「取材」によって収集した情報は他にはない、差別化できる「情報」ですが、一般のビジネスパーソンの皆様でも、「取材術」を身につけることによって他社と差別化できる「情報」を得られるようになります。
今回はまず、ポイント1を取り上げます。




「取材術」のPoint1:「下調べ」は見極めが大事

ここでは、「市場調査」における「取材」を想定して、業界団体や企業の関係者、専門家などの人へ直接アプローチ(対面、電話、メール等でのコミュニケーション)する場合の「取材術」のポイントを整理します。

直接「取材」するメリットは、二次情報(既存情報)ではわからない内容を確認するとともに、取材した人の印象や声の大きさ、強さ、トーン、または取材した会社の雰囲気や周辺の環境などを直接肌で感じることで、臨場感のある「情報」が得られることにあります。一般に、取材の現場で言葉から得られる情報は7~8割と言われており、残りの2~3割は「非言語情報」です。これらの情報も「差別化」できる情報になります。

取材前の予備調査としては、調査テーマに関する必要な情報を既存の調査レポートやインターネット、新聞・雑誌等のデータベースなどを活用して収集します。その収集内容をざっと読みこんで内容を整理して、疑問点や課題を整理し、「わかったこと」「わからないこと」を確認します。

この情報収集の場面ではChatGPTなどの「生成系AI」も威力を発揮します。調査テーマに関する既存情報の量、難易度にもよりますが、一般的な市場調査の場合、従来なら一週間程度かかっていた情報収集が、「生成系AI」ならば数時間から半日で可能になる、という見解もあります。ただ、「生成系AI」で収集された情報の信ぴょう性にはまだ一部課題があり、誤った情報も含まれることを前提として活用すべきです。
※無断転載・引用禁止


また、この予備調査の段階で必要以上に時間をかけすぎると、先述の内田先生が指摘するとおり「情報は多ければ多いほど良い」という泥沼のサイクルに陥ってしまいます。取材の成功に重要なことは、二次情報(既存情報)の収集・分析で、どこまでわかって、何がわからないのかを見極めることです。予備調査でよくわからない点が、まさしく「取材」で明らかにすべき内容になるのです。




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