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2025.10.20 UP

今こそ?No.1を掲げる意義
~信頼される訴求へのアップデート~ 後編



本コラム前編では、No.1マーケティングを取り巻く現状をご紹介しましたが、後編では、No.1表示をより確かなものとするために留意すべき点をご紹介します。
※前編はこちらをご覧ください。


1.信頼されるNo.1のためにできること

消費者庁は、2024年9月に公表したNo.1表示に関する実態調査において、No.1表示等に関する景品表示法上の考え方として、以下4つの観点から整理しています。

(1)比較対象となる商品・サービスが適切に選定されている
   主要な競合商品・サービスを比較対象として設定し、把握できている競合を恣意的に
   外さないことなどが大前提となります。

(2)調査対象者が適切に選定されている
   表示内容から認識・想定される、妥当な調査対象者を選定する必要があります。
   例えば、「満足度」を測る際に、当該商品・サービスの利用経験がない対象者を選定する
   などの調査設計は、当然ながら不適切と考えられます。

(3)調査が公平な方法で実施されている
   対象の選定だけでなく、調査手法や設問の設定についても恣意性や不公平さを排除して
   検討を進める必要があります。適切な調査期間の確保(「瞬間最大風速」のNo.1になら
   ないようにする)や、選択肢のランダマイズなどについても、もちろん考慮する必要が
   あるでしょう。

(4)表示内容と調査結果が適切に対応している
   調査の切り口に応じた適切な言葉選びを行い、誤解・誤認を与えないよう配慮する必要
   があります。また、古い調査結果を繰り返し使用するのではなく、適宜アップデート
   し、「現状」の反映に努めることが望ましいと考えられます。

上記が満たされない場合、不当表示(優良誤認、有利誤認)として景品表示法上問題となる、との見解を消費者庁は示しており、これらはNo.1表示等における「基本動作」として不可欠な要素と言えるでしょう。

そして、これらを遵守することは、消費者に対する説明責任を果たすことでもあり、企業・ブランドの信頼性を担保するための最低限のラインと考えられます。




2.各種ガイドラインから学ぶ、留意すべきポイント

各種媒体・プラットフォーム企業は、広告やPRにおける表現のガイドライン を定めており、「最大級」「No.1」などを含むクリエイティブにも様々な制約が設けられています。
こうしたガイドラインの内容を下敷きに、No.1などを謳う際の留意事項を集約すると、概ね以下のポイントに整理することができます。

<前提>
 ◆ 客観性・中立性のある調査・データに基づいている
 ◆ 当該調査結果を正しく引用する

<要件>
 ◆ 評価軸を明確化する(売上高/販売数量/利用実績/イメージ/その他)
 ◆ 対象商品・サービスの範囲を明確化する
 ◆ 調査機関の名称を明記する
 ◆ 調査期間・時点を明記する
 ◆ 調査方法を明記する
 ◆ アンケート調査等の場合は、調査対象(n数、条件など)を明記する
 ◆ 古い調査結果を使用しない(概ね半年~1年以内の調査結果が求められる)


いずれにしても、客観性・公平性・誠実さをベースとした発信が求められることになりますが、上記に加えて、発信の際に誤認・誇張を回避できるよう複数のセクション(法務、広報、マーケティングなど)でチェックする体制を整えるなどの慎重さも必要と考えられます。




3.今こそ、納得のNo.1を

No.1表示を巡る環境は、行政による適正化の期間を経て一定の整備がなされ、必要事項の要求水準が上がっています。それ故に、要求水準を調査結果によって満たしたNo.1訴求には、高い効果が期待できます。
当社は、No.1を恣意的に「作り出す」ことはなく、合理的な調査設計が成り立たない場合には調査を推奨していません。短期的な派手さではなく、信頼やブランド価値向上を長期的に支える「説明力」を伴ったご支援を行うのが当社のスタンスです。今こそ、再度No.1マーケティングについて検討してみるのはいかがでしょうか。




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