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2020.04.23 UP

高齢者マーケティングを成功させるために必要となる視座(後半)





このたび、「技術情報協会:研究開発リーダー(2020年3月号)」に弊社 経営・マーケティング研究部 高齢者マーケティング研究室が寄稿した記事が掲載されましたのでご紹介させていただきます。

本コラムでは記事の後半をご覧頂くことができます。
(記事前半はこちらから)

貴社のマーケティング活動のご参考になりましたら幸いです。


3.高齢者は「新商品に対して保守的」

 
 高齢者の消費性向(買物意識)の基本的な特徴として、「新商品に対して保守的」であることが挙げられる。図2を参照されたい。高齢者は加齢とともにより新商品に対する興味・関心が希薄になっていく傾向が示されている。他方、図3では、商品の買い筋が固定化していく傾向が示されている。この傾向は当然ながら購入対象となる商品・サービスによって異なるが、こうした保守的な購買態度は、高齢者マーケティングを検討する上で前提とすべきハードルと言える。

 一般論としてマーケティング戦略検討ではシーズ志向・ニーズ志向という2つの視点があり、各社の方針や目指すべき方向性によりその重視のバランスが異なるが、高齢者マーケティングにおいてはニーズ志向が相対的に重視されるケースが多い。自社が強みとする技術を生かした優れた商品を市場投入しても、高齢者は基本的に興味を持たない可能性が高いためである。









4.購買行動を喚起させるためのトリガーは
  「高齢者ならではの未充足ニーズ」


 こうしたハードルを乗り越え、高齢者へ新商品を届ける有力な切り口の1つは、「高齢者ならではの未充足ニーズ」に注目するアプローチである。高齢者は加齢に伴い、様々な身体的不調・衰えが進行し、生活の中で様々な困りごとに直面する。こうした困りごとは、場合によっては切実であり、高齢者を日々悩ませ不安にさせる。そのようなネガティブな状態を解決・解消できる新商品は、高齢者の保守的な態度を超えて購買意欲を刺激する。

 弊社自主企画調査「未充足ニーズ調査2019年」では、様々な生活上のアクションに関して、加齢に伴い「困難を感じる程度」がどのように変化するか、また、それを解決する商品に対する購入意向を調査した。参考までに図4を参照されたい。図4では「何かにつかまらないと立ち座りが大変」という困りごとが加齢に伴って増加し、それに伴って、こうした困りごとを解消する新商品への期待感が高まっていくことが示されている(グラフ内、折れ線で表示されている)。困りごとの解消というベネフィットを持つ新商品に対しては、高齢者の保守的態度は軟化し、興味を持ちうるのである。



 高齢者マーケティングを成功させている弊社クライアントは、「既存商品が満たせていない、高齢者ならではの新しい未充足ニーズを見つけること」にしっかりとしたエネルギーをかけている。そして、発見した未充足ニーズの中から、より強く、より大きなニーズに絞り込み、自社の強み(他社との差別化ポイント)を明確に打ち出しながら新商品コンセプトをメイキングする、というプロセスを丁寧に行っている。

 シンプルではあるが、この基本プロセスを着実に推進し、一定の周期でサイクルを回している企業が成功していると言える。また、こうしたプロセスを自社内に定着させることが高齢者マーケティングをバージョンアップさせることの第一歩と言える。



5.満たされた未充足ニーズの先にある、
  新たな未充足ニーズ

 
 実際のところ、「既存商品が満たせていない、高齢者ならではの新しい未充足ニーズを見つけること」は容易ではない。そのため、「満たされた未充足ニーズの先にある、新たな未充足ニーズ」に注目するアプローチを重視する企業も多い。

 簡単な例としては補聴器を取り上げてみよう。補聴器は、そもそも聴覚が衰え、日常生活で他者の声や生活音が聞き取れないという困りごとを解消する商品であるが、その困りごとが解消したとしても「長時間、補聴器を装着していると耳に痛みを感じる」「装着している補聴器が目立つと周囲からの視線が気になる」といった新しい困りごとが生まれる。この困りごとを受け止めるため、より小さくて軽い補聴器や、装着感がソフトな補聴器、デザイン性が優れていて周囲から気づかれない補聴器が開発される。

 この補聴器の例のような「満たされた未充足ニーズの先にある、新たな未充足ニーズ」は、実は様々な商品・サービスに潜在しており、うまく探索できれば新しい商品提案の切り口となる。既存商品が先行して対応してしまった未充足ニーズであっても、上記のような観点で細やかに検討していくことが有用と考えられる。

(記事前半はこちらから)

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