注目を集める「シニア市場」(No.5)

2016年10月20日

 前回コラム(第4回)では、「シニア」層を対象とした場合のリサーチ手法として、マジョリティとなっているオンライン調査(インターネット調査)の課題について論じると共に、「郵送・FAX調査」の有効性を論じた。

   

今回は「シニア世代」の5回目(最終回)を迎えるが、「消費者購買行動理論」をいま時風に表現した「カスタマージャーニー」の視点で論じることとする。

  

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1.消費者購買行動理論(モデル) の過去〜現在

 

 消費財マーケティングにおいて「商品」と「マス広告」の役割が非常に大きかった時代において、AIDMA理論やハワード・シェスモデルは「商品(価値)」「情報(刺激)」「消費者(意志決定)」の3つの関係を整理する「消費者購買行動理論(購買意志決定モデル)」として確立され、長年、マーケティングの実践の場でも活用・応用されてきていることはご承知の通りである。

 それは、我々のようなマーケティングリサーチに携わる人間にも大いに影響を及ぼしており、特に調査内容・調査項目の順番を決める上で、ある種のガイドラインとして大変有用なものとなっている。

  

 マーケティングやマーケティングリサーチにおいて、そのような重要な役割を担っている「消費者購買行動理論」ではあるが、やはり、90年代後半のインターネットの登場に伴い、その重要性には大いに変化したと言わざるを得ない状況となっている。

勿論、「消費者購買行動理論」が不要になった訳ではなく、インターネットによって第一義的には、消費者が入手可能な情報の質・量・スピードが格段に高まり、上述した消費者の行動や意志決定の枠組みでは捉えきれなくなったこと。それに加えて、インターネットの利便性の高さ、コストの安さによって、消費者にとっても、事業者にとっても魅力的な新たな流通チャネルとしてその地位を確かなものとしたことが、「消費者購買行動理論」に変化を促したということである。

 

 

2.消費者購買行動理論(モデル) の現在〜未来 カスタマージャーニーとは?

 

 カスタマージャーニーは、上述した「消費者購買行動理論」の現在〜近未来を示すものと位置づけられるが、これは、著名な戦略コンサルファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニー社が2009年6月に発表した「The consumer decision journey(消費者の意志決定の旅)」http://www.mckinsey.com/business-functions/marketing-and-sales/our-insights/the-consumer-decision-journey

に端を発するものである。

 

 この場では詳細説明は省略するが、論点を筆者なりに整理すると以下のようなものとなる。

 

 

 

 

3.「シニア」の観光旅行の購買行動をカスタマージャーニーの視点で整理する

 

 近年、カスタマージャーニーを整理したものをカスタマージャーニーマップと称して目にする機会は増えているかと思うが、「消費者購買行動をカスタージャーニーの視点で整理する」ということは、そのアウトプットは即ち、カスタマージャーニーマップということになる。

 マップと言っても、地図のような何かの道筋を描くものではなく、概ね、前項で示した5つのフェーズ毎に「状態・状況」「マインド」「情報ニーズ」「行動」の4つの視点で情報を整理し作表したものとなる。

 

 

 上表の内容は、「シニア層」向け旅行商品開発時の調査結果を抜粋した記載したものだが、同時に実施した若年層のカスタマージャーニーとの比較で、「シニア層」をターゲットとしたマーケティング施策の濃淡を鮮明に描くことが出来た。

 

 消費者は、事業者側にとっては想定外の商品・サービスやブランドと日々接しており、購買決定は前述したような漏斗スタイルではもはやなく、且つ、必ずしも継続的では無く、「シニア層」でも程度の違いこそあれ、基本的には同じである。

「シニア層」も十人十色時代から、今や一人十色の様相を呈しており、特に団塊の世代以降は特にその傾向が強まっているように思う。

 

 最後に、マーケティングリサーチは、不透明さを増す消費者理解の手段として、益々重要性が高まっていることは言うまでもない。 

これまで5回のコラムを通じて、「シニア層」に関わるマーケティングやマーケティングリサーチ実施について論じて来たが、マーケティング的成功を目指す上では、

1)「マーケティング課題の設定」

2)「マーケティング課題のリサーチへの落とし込み」(ここまでが「課題別調査サービス」の活用検討)

3)「適切な調査手法選択と実施」

4)「多面的・複眼的な分析」(「課題別統計解析手法」を含む)

という基本、全てが相まって初めてマーケティングリサーチは真価を発揮する。

マーケティング課題の解決にお困りになられたら、ご相談を頂ければ幸いである。

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