注目を集める「シニア市場」(No.3)

2016年8月19日

第一回目では、主に「シニア」層の量的魅力について、そして第二回目では「シニア層」内に潜む格差について論じたわけであるが、今回は、「食」領域の消費支出額に着目し、「シニア層」の中での年代別の特徴を論じてみたい。

なお、論じるにあたっては、弊社が2014年6月に実施した「シニアの買い物意識とメディア接触に関する調査」結果を用いることとする。

【調査概要】

  • 調査タイトル :「シニアの買い物意識とメディア接触に関する調査」調査概要
  • 調査対象者 : 全国に居住する50代~70代の夫婦二人暮らしの方
  • 調査手法 : 日本能率協会総合研究所 モニターリサーチシステムを活用したFAX調査 
  • 実施時期 : 2014年6月12日(木)~2014年6月23日(月)
  • 発送票数 : 1,266票(回収率47.4%)
  • 有効回答 : 600票
  • サンプル構成 : 50代~70代、男女別、各100サンプル
  • 本サイト内詳細 : 詳しくはこちらをご覧ください

1.「シニア」世代の消費意識

消費意識について尋ねた22項目の中で、「シニア」世代全体では、「あてはまる+ややあてはまる」の回答率上位項目は、「r.周りの人がどんなにすすめても、自分が商品の品質に納得しなければ買わない」(75%)、「e.これまでに買ったことない商品を買うときは慎重になる」(73%)、「c.商品について知りたいことがあると自分で調べる」(70%)が三大項目となっている。「シニア」世代全体の本音と建前が表出するとともに、経験豊富故の自己完結的な意識がうかがえる。

 しかし、年代別にみると歳を重ねる、言わば「シニア」化の深度により差異が顕著な意識が散見される。

「c.自分で調べる」「q.じっくり検討」「b.より良い商品を探す」「a.新商品を試す」といった積極的な意識・態度は若年層ほど高い。

反対に、「g.既存品を購入することが多い」「f.新商品で後悔したくない」等保守的な意識は高齢層ほど高い。

 そんな中で、「シニア」世代のコア層である60代は、「m.本当に良いと思う商品・サービスであればお金を惜しまない」が最も高く、アクティブシニアの消費意識を代表している。



2.「シニア」世代の「食」領域での消費支出の実態

前項で、消費意識においては、「シニア」世代における各年代間の差異が確認出来たが、「食」領域、内食・外食・健康食品の3分野の消費支出から、意識との整合性(非整合性)を確認してみたい。

まず、「食料・飲料」即ち内食への支出については、「シニア」世代全体平均が5.8万円であるが、女性よりも男性の方が高く、また、高齢層ほど高くなる。
シニア・コア層の60代は、全体平均に近似しているのに対し、70代は男性で約1万円、女性で約5千円も高い。内食については70代の財布の紐は相対的に緩いことがうかがえる。

次に、外食は内食とは全く逆で、高齢層ほど支出額が低くなる。外食回数は質問していないので分からないものの、1回当たりの金額で比較すると高齢層の単価の方が高くなる可能性も残されている。

最後に、健康食品への支出を見ると、内食とも外食とも異なる傾向が見られる。一言で言えばシニア・コア層の60代での消費の中折れ現象である。

シニア層に入ったばかりの50代は高いケア意識の下、支出が活発化する。しかし、60代に入って自分の体・体調と健康食品への慣れからか支出が低下、そして70代になると消費者の再活性化現象がうかがえる。

内食、外食、健康食品の3つを合算して比較すると、改めて「食」領域に関しては70代の支出額の大きさが顕著となる。

「食」領域に限定すれば、お金を使うという点での真のアクティブ「シニア」は70代と言えそうだ。

50代:内食51,578円+外食13,466円+健康食品4,718円=69,762円

60代:内食58,120円+外食10,905円+健康食品3,465円=72,490円

70代:内食66,836円+外食 9,994円+健康食品4,677円=81,507円

 巷では、「シニア層」を論じた文献は多数あるが、その中でも「アクティブシニア」に着目したものが多いし、注目もされているように思われる。
今回のデータでは、消費金額からみた「アクティブシニア」とは、「70代」だったということが明らかとなった。

であるならば、マーケティングもリサーチも「70代」の理解を深める必要があるだろう。

次回は、「シニア」層を対象としたリサーチの課題と対応の方向性などを論じることとする。

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