注目を集める「シニア市場」(No.2)

2016年7月19日

前回は、"シニアの実年齢""マーケティング戦略上の位置付け"について論じたが、「シニア層」は日本の高度経済成長を支えるという日の当たる部分と、経済の減速に伴うリストラ、規制緩和に伴う業界再等の日陰の部分の両方を経験して来た層で、実は「シニア層」の中は相当な格差が存在しているのも事実である。今回は、そうしたことを起点に「シニア市場」の"質的魅力"と"多様性"について論じたい。

1.「シニア」世代と日本経済のトレンド

「シニア」の代表的存在でもある団塊世代は、「1947年〜1949年生まれ」とされているが、この世代の誕生から現在までの、日本経済の主要なトピックは下図のように整理できる。

シニア世代は、大学入学の頃には国家の経済力の証の国家イベントと言われる「東京オリンピック」を経験し、社会人になってからは、企業の一員として2回のオイルショックを経験、プラザ合意による急激なドル安円高、そしてこの強い円を背景とした海外資産等への積極的投資、あるいは、円高不況対策としての金融緩和政策の中で、働き盛りの40代でバブル期を迎えたのである。

 バブル期の象徴的な出来事は、「1989年12月29日の日経平均が史上最高値38,957円」や「1989年10月の三菱地所によるニューヨーク・ロックフェラー・センター買収」に象徴される。日本中が何かに取り憑かれたように浮かれていた空気感は今でも記憶しているし、日本のGDPを越えた2003年頃からの中国でも同様の雰囲気を感じる。

「バブル景気」とは、景気動向指数(CI)上は、1986年12月から1991年2月までの51ヶ月間の資産価格の向上とそれに付随した社会現象の総称として用いられている。ただし、日本の政府見解では、「1987年10月19日のブラックマンデー」以降から1992年2月までとされている。

2.サラリーマンの平均所得の推移と「シニア層」内での格差

日本のサラリーマンの平均年収は、下図で見るようにバブル期に概ね400万円に到達し、バブル崩壊後も極端に下がることはなく、2000年頃まではそのレベルを維持して来ている。

一方で、際立っているのが、企業規模(資本金規模)による格差の存在である。取り分け資本金規模10億円以上とそれ以下の企業では歴然と格差が存在している。そしてこの格差はいつの時代も存在していることを示している。

いつの時代もではあるが、全体平均に対して200万円程度年収の高い資本金10億円以上企業に勤めるサラリーマンは、単純計算では30年間で6,000万円の所得増となるわけである。

内閣府の平成25年版高齢社会白書では、シニア層(団塊の世代)6,000人に対する調査結果が紹介されているが、それによれば、まず世帯年収については「240万円~300万円」が最も多く17.3%を占め、全体は正規分布しているものの、年収が「概ね1千万円を超える」層が約6%を占める一方で「120万円未満」と「無収入」を加えると約8%を占め、シニア層の中でのフローには大きな格差が存在している。

因みに、家計調査によれば勤労・家族二人以上世帯の家系支出の平均は年間360万円程度であり、仮にシニア層世帯も同額とすれば、64%の世帯は貯蓄を切り崩しながら生活していることになる。

一方、シニア層世帯の貯蓄額は、所得とは異なりバラツキが大きいことを示しており、フロー・ストックを合わせて考えると、人により世帯により消費支出の格差は更に大きなものとなると考えられる。

3.「シニア層」の消費ニーズポテンシャル

第一回目では、主にシニア層の量的魅力について、そして第二回目ではシニア層内に潜む格差について論じたわけであるが、次回の生活領域(食・レジャー等)別のシニア層の消費性向を論じる前段として、内閣府が60歳以上の男女個人を対象に実施している高齢社会対策に関する調査の最新結果から、「今後取り組んでみたい活動」を通じてシニア層の価値観・消費性向の総体を確認してみると、顕著な変化は、「テレビ・ラジオ」が低下傾向、「友人・知人との交際」「旅行」「散歩・ジョギング」「食事・飲食」が上昇傾向にあり、一般企業にとってシニア層は多様な事業機会・ポテンシャルを有している層ということが出来そうである。

【出典:「高齢者の日常生活に関する意識調査結果(平成26年度)今後取り組んでみたい活動」・内閣府】

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