注目を集める「シニア市場」(No.1)

2016年6月22日

1.はじめに(「シニア」とは、一体何歳の人のことを指すのだろうか?)

「シニア」という言葉を聴くと「団塊世代」という言葉を思い浮かべる方も多いのでは?と思うのだが、厚生労働省の定義に従えば、団塊世代は「1947年〜1949年生まれ」とされている。丁度、今年67〜69歳を迎える人のことになる。そうだとすると、60代後半の人が「団塊世代」や「シニア」ということになりそうだ。

また、世界保健機構(WHO)では、生産年齢人口を15〜64歳と定め、65歳以上を「高齢者」と定義している。そうだとすると、「シニア」というのは何となく心地よい響きがするが、実態は、生産年齢を過ぎた「高齢者」のことを指しているのかも知れない。では、「シルバーは一体何歳?」等と思ったりもしてしまうのだが、話を先に進めよう。

ここまで、「シニア」「団塊世代」「高齢者」と異なるイメージを感じさせる言葉を並べ、該当する年齢を考察したみたわけだが、共通して「60代後半」が含まれていることは明らかなようだ。
つまり、「シニア市場」の実態的側面の一つとして、「60代後半」が形成する、即ち、ターゲットとなるセグメントであることを物語っている。

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2.「シニア市場」のボリューム

言わずもがなであるが、この「60代後半の団塊世代」を中心に形成される我が国の「シニア市場」は、少子高齢化が進む日本の状況において、FMCG(一般消費財)を提供する多くの企業にとって、相対的な「マス市場」として意識せざるを得ない大切なものとなっているのが現実である。

何故ならば、「団塊世代」の出生数は、年間約260万人、3年齢・年間分では800万人を超える一大市場・セグメントである。これに対して2015年の出生数は僅か100万人に過ぎず、「団塊世代」と同規模のボリュームになるには、単純計算で8年齢・年間分を要することを意味している。
しかも更に重要なのは、単にボリュームの問題だけでなく、8年間の時代や社会環境の変化を考えると、(団塊世代の)3年間に較べて当然大きいわけで、市場の同質性は明らかに低下する。そうした意味からも「シニア層」、そのコア層として「団塊世代」はマーケティング最適化を図る上で大変魅力的な市場なのである。

参考までに、人口規模は異なるが、日本と米国の5歳階級人口ピラミッドを比較すると、形が全く異なっている。米国では、50代以下の年齢別人口は一定しているが、この理由のひとつとして年間250万人規模の移民を受入れていることが言われている。
毎年安定的な量のニューマーケットが誕生・確保可能な米国、それに対してボリュームの多い層を追いかけ続ける必要のある日本。当然、両国のマーケティングには違いが生じることを忘れてはいけない。

2014年人口構成比

3.「シニア市場」の購買ポテンシャル

次に、「シニア市場」が単に量的に魅力のある市場では無いことを示しておきたい。
家計調査2015のデータによれば、家族二人以上世帯の全体平均は、年収約700万円、貯蓄額が1,300万円で合わせると2,000万円のお金を有していることが分かる。

これに対して、「シニア市場」を構成する「60歳以上」では、収入は平均を下回るものの、貯蓄額は2,000万円を上回り収入(フロー)と貯蓄(ストック)を合わせると2,800万円ほどを有し、最大のリッチ層に位置付けられ、「シニア市場」がお金の面でも大変魅力的な市場であることが分かる。

年代別年収と貯蓄額

初回は、"シニアの実年齢"と"マーケティング戦略上の位置付け"について論じたが、「シニア層」は日本の高度経済成長を支えるという日の当たる部分と、経済の減速に伴うリストラ、規制緩和に伴う業界再等の日陰の部分の両方を経験して来た層で、実は「シニア層」の中は相当な格差が存在しているのも事実である。次回は、そうしたことを起点に「シニア市場」の"質的魅力"と"多様性"について論じたい。

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